ダウン症の老人がいない理由!何故高齢のダウン症の人を見ないのか?
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ダウン症は長生きできないというのは、昔の話です。
1970年代までは、ダウン症の子供は、せいぜい20歳くらいまでしか生きないと、医師も考えていました。
しかし、合併症が早期に治療できるようになり、ダウン症の人も、老人になるまで生きられるようになりました。
それなのに、街中で高齢のダウン症の人を見かけないのは、どうしてでしょうか?
ダウン症の人は40歳前後に認知症を発症する事例が多く報告されている
ダウン症の人は、健常者よりも早く老化すると言われています。
認知症を発症する年齢が、健常者に比べて、30~40年早いとされています。
ダウン症の人が認知症を発症するのは、40歳前後から。
その頃から、ダウン症の人の認知症の事例は、多く報告されています。
イギリスで約60000人のダウン症の人を対象に行った調査によると、50歳では約半数の人が、認知症になる可能性があるとされています。
認知症の発症リスクは、年齢とともに劇的に増加する傾向が示されています。
ダウン症の人は、脳内で異常に高い濃度のアミロイドを持っています。
ケンブリッジ大学のホラント教授は、これが原因で、ダウン症の人は、認知症を発症しやすいのではないかと考えています。
認知症を発症したら在宅介護は困難!ダウン症の中高年は施設で生活している
認知症を発症すると、在宅介護は困難さを増します。
知的障害がベースにある場合は、認知症のケア以外にも、知的障害への対応も、心得ている必要があります。
また、その頃には、家族も高齢化しています。そのため、ダウン症の中高年で、認知症を発症した人には、入居できるタイプの施設での生活が、必要になります。
街にダウン症の老人がいないと感じるのは、ダウン症の中高年の人の多くが、入居タイプの施設を利用しているためです。
日本では、知的障害がある人の入居サービスの利用率は、高いとされています。
身体障害者や精神障害者と比較して、入居サービスの利用比率は、著しく高いと言われています。
ダウン症の老人がいないと感じるのは、入居サービスの利用率の高さを反映しています。
介護保険の使い勝手が問題!知的障害者施設は高齢者介護を前提としていない
エジンバラ大学のダイアン・カー氏は、地方自治体がいまだにダウン症の人は、長生きしないという誤った認識を持っているため、ダウン症の人の高齢化に必要な準備が出来ていないと、懸念を表明しています。
日本でも、ダウン症の老人がいないと感じるほど、入居サービスの利用が進んでいますが、介護を必要とする知的障害者の生活場所に関する調査結果を見ると、介護老人福祉施設に入居している人は、25%にとどまっています。
36%は、すでに入っている知的障害者施設にそのまま入居しており、21%は、その施設と馴染みの関係のグループホームに入居しています。
介護保険施設を利用するには、知的障害者施設を一旦退所し、介護保険に加入して、要介護認定を受け、その後、施設利用の申請をしなくてはいけません。
知的障害者施設は、高齢者介護を前提としていないからです。そのため、すでに入居している知的障害者施設を、当面利用せざるを得ないという事情があります。
介護認定の必要を感じているものの、要介護認定を受けていない人は、全体の73%にのぼると報告されています。
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