ダウン症でも運転免許は取得できるのか?車の運転の危険性について!
「ゆっくりと育つ」と言われるダウン症の人。
病弱でなく、普通学級で頑張っているダウン症の子どももいます。
行動の上限を設けずにのびのびと育って欲しいと願う保護者が、次に目指すのは、自動車の運転免許取得かもしれません。
ダウン症の人の運転免許取得は可能でしょうか。
運転免許取得自体は可能
平成14年6月1日、運転免許の欠格条項の一部が削除されました。削除された条項は、特定の障害や病気の人には運転免許を与えないとするものです。
それ以前の条項では、精神病の人、知的障害者、てんかん病者、目が見えない人、耳が聞こえない人や口がきけない人には、運転免許を与えないと定めていました。しかし、そのような人にも、個別に判断して運転免許を与えることができるように変更されました。
現在、知的障害者も、試験に合格すれば、自動車の運転免許を取得することは可能です。
ダウン症の人であっても、自動車学校の試験に合格すれば、運転免許は取得できます。
あべけん太さんの場合
ダウン症の人の運転免許取得に社会的な関心が集まったきっかけは、日本の場合、NHKの障害者情報バラエティー(通称バリバラ)に出演されたあべけん太さんの実話でしょう。
「ダウン症のイケメン」と呼んで欲しいと言うあべけん太さん。
水泳が特技で、大学ではレスリングもしているというスポーツ好き。
ケイ・プランニングというプロダクションで歌や芝居の稽古をしてタレントとして活動しているあべさん。
行動派らしい一面をうかがわせるエピソードとして、自動車の運転免許を取得しています。
免許取得までには長い道のりがあったと番組で明かし、55回目の挑戦で合格したことを打ち明けています。
番組の視聴者の反応は、さまざま。
ダウン症の子どもを持つ保護者からは、その努力に感動したという声や、自動車の運転免許が取得できるのは行動の自由を手に入れることに直結するから自立への希望が持てたとの声が、多数上がっているようです。
しかし、54回の不合格があったという事実を重視する立場もあります。
番組を見た後、怖くなったという声も上がっています。
個人の可能性の追求と公共の福祉のバランスが難しい
ダウン症の人ができないと他の人が思い込んでいることは、たくさんあるようです。
マスコミの調査によると、ダウン症の人にはできないと一般の人が思っていることは、漢字の読み書き、英語、データ管理、会社勤務、電車通勤、パソコン操作、筋トレ、運転免許取得などとされています。
ダウン症の人の可能性を切り拓く行為として、運転免許取得は大きな意味を持つと言えるでしょう。
ただし、運転免許を取得して実際に自動車を運転するとなった時、その行為は、他の行為と分けて考える必要があるでしょう。
他の行為は、過失があっても他人の命を危険にさらしません。
個人的な能力向上や、社会貢献につながる行為です。しかし、自動車の運転は、過失が自分の命ばかりか他人の命までも危険にさらしかねない行為です。
事故を起こさないということは、最低限の注意事項であると同時に公共の福祉に関わる事柄です。
障害者の可能性の追求と公共の福祉のバランスをどう取っていくか。
個別に判断されるようになった現在、個々の事例ごとに難しい舵取りが迫られています。
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