ダウン症と排尿障害には因果関係あり⁈腎臓障害が出る危険性も!
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ダウン症の人に多い合併症として有名なのは、心臓疾患です。
その他の合併症は個人差が大きいとして、現在、研究中というのが、実情。
研究途上にある合併症の一つとして、近年、注目されつつあるのが、排尿障害です。
現時点では、ダウン症候群において、腎臓や泌尿器の疾患は、頻度の高い合併症とは考えられていないようですが、膀胱機能障害の頻度はけっして稀ではないとの検査結果も出ているそうです。
ダウン症の人に多い腹圧排尿
ダウン症の人の特徴としてよく知られる筋緊張の低下。
その筋緊張の低下が影響しているのではないかと言われているのが、腹圧排尿。腹圧排尿とは、お腹に力を入れることで膀胱を収縮させる排尿の仕方です。
膀胱が収縮するのに必要な筋力が弱いため、ダウン症の人には、腹圧排尿が多いのではないかと言われています。
腹圧排尿でも、自力で排尿ができていれば、問題はありません。
しかし、年齢が上がるにつれて、残尿が多くなり、尿として排出される量が少なくなる傾向が認められるとも言われています。
多量に残尿が生じれば、腎臓機能の低下も危ぶまれます。
保育園や幼稚園に上がる年齢から、導尿が必要になるケースもあります。
そのため、保育園や幼稚園での受け入れ拒否にあう保護者もいます。
導尿が必要になるほどでないと、尿失禁があっても、知的障害があるから仕方ないと思う保護者は少なくないようで、排尿に問題を抱えているダウン症の子供がどのくらいいるのかについての大規模な調査は、まだ行なわれていません。
▶︎ダウン症の合併症!てんかんにはどのようなものがあるのか?
アセチルコリンの分泌量の減少が関係している⁈
個々の小児科医や排尿障害の専門医の間で、少しずつ注目されだした、ダウン症候群と排尿障害の関係。
その中で、比較的まとまった研究が行なわれているのが、佐賀大学医学部です。
きっかけは、尿が全く出ない尿閉に陥った9歳の女の子の診察をしたこととか。
9歳での尿閉ということで、ダウン症との関係があるのか否かを調べようと、ダウン症の家族会の協力を得て、ダウン症の子供約70人の排尿状況を調べたそうです。
調査の結果、8割が年長児から排尿回数が極端に少なくなり、排尿にかかる時間が長くなっていることが判明。
しかし、ダウン症と排尿障害との関係は知られていないため、成人したダウン症患者の中には、トイレの時間が長すぎて、仕事をサボっていると誤解されたケースもあると言います。
佐賀大学医学部では、排尿障害の背景には排泄を促す神経伝達物質のアセチルコリンの分泌量が減っていることがあるのではないかとの視点から、大学の倫理委員会の許可を得て患者15人にアセチルコリンの減少を防ぐ物質を投与。
患者の中には、導尿が必要な状態から自力での排尿ができるまでに回復した人もいるとのことです。
この研究は、排尿障害がダウン症特有のものであること、治療ができそうだということの2つの点で、医療関係者の注目を集めています。
ただし、薬剤が適応するかどうかは個人差があり、小児に長期間投与しても安全かどうかは、まだ分かっていないとの慎重な見方も、少なくありません。
▶︎ダウン症児の白血病について!発症確率は?予後はどうなのか?
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