ダウン症の子どもの運動機能の発達で問題なのは何?筋緊張の弱さとの意外な関係!
ダウン症の子どもは、乳幼児から運動機能が遅れることが多いとされています。
お座りができるようになるのは、11ヶ月から12ヶ月。
一人で歩けるようになるのは、生後22~26ヶ月が多いようです。
ゆっくりと成長していくダウン症の子ども。
ダウン症の子どもが運動する上で抱える本質的な問題には、どのようなことがあるのでしょうか?
知的障害の子どもには運動発達の遅れが見られることが多い
ダウン症の子どもには、知的な発達の遅れが見られることが少なくありません。
知的障害の子どもの中には、運動発達の遅れがしばしば見られます。
子どもの運動発達を観察する際、重要なのが、姿勢と運動です。
この場合の運動は、一つの姿勢から次の姿勢に移るためのプロセスとして捉えています。
知的障害を持つ子どもは、しばしば姿勢に問題が見られることが、指摘されています。
姿勢や運動面に問題が生じるのは、中枢神経系が未発達であることが影響していると、考えられています。
ダウン症の子どもは平衡性の能力が低い
ダウン症の子どもは、知的障害者の中でも、平衡性の能力が特に低いと言われています。
また、青年期のダウン症の人の運動機能を調べた結果では、さまざまな能力の中でも、平衡性の能力が顕著に低いことが指摘されています。
ダウン症の人が平衡性の能力に問題がある原因について、小脳の未発達が関係しているのではないかとする見方があります。
小脳は、脊髄や中脳と連絡し、橋を介して大脳や平衡器官と連絡しています。
小脳は、この連絡網によって運動調整中枢として重要な役割を果たしています。
姿勢やバランスを保持しようとする時に、ダウン症の人が平衡性に問題を抱えるのは、平衡器官と関連が深い小脳の発達が不十分なためではないかという考え方です。
ただし、ダウン症の人の中にも、運動が得意な人もいるため、小脳未発達説は、疑問の余地があるとされています。
筋緊張の低さが関係
平衡性の低さには、ダウン症特有の筋緊張の弱さが関係しているとの見方が、現在有力です。
身体を安定させるための筋力が不十分なことが、平衡性の低さを生んでいるのだろうとする見方です。
具体的には、下肢筋力の弱さが指摘されています。
下肢筋力群の中でも、下肢三頭筋と大腿四頭筋の2種類は、姿勢を保持する上で、ことに重要な役割を担うとされています。
ダウン症の人は、筋緊張の弱さから筋量が一般よりも少ないと考えられています。
ダウン症の人は、成人期以降、動作の緩慢さが顕著になってきますが、平衡性の低さが動作の緩慢さに影響を与えていると言われています。
そのため、幼児期からバランスを意識した活動を無理なく継続できるようにすることが、ダウン症の子どもの療育では大切だとされています。
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