ダウン症(21トリソミー)の転座型とは?転座型の人のデータから分かる事
染色体異常の疾患、ダウン症。
ダウン症は、21番染色体が3本ある病気です。
染色体が2本ではなく、3本あることを「トリソミー」と言います。
トリソミー現象は、どの染色体についても起こり得るものですが、トリソミーを起こした染色体に乗っている遺伝情報が多いと、遺伝情報のアンバランスを起こして、流産等になります。
21番染色体は、常染色体の中で最も小さいため、それに乗っている遺伝情報も少なく、遺伝情報のアンバランスを引き起こすことが少ないため、生まれてくる頻度が高いとされています。
ダウン症の遺伝子治療について、現在、どこまで進んでいるのでしょうか?
注目されている転座型
ダウン症には、3つのタイプがあります。
標準型21トリソミー、モザイク型、転座型です。
ダウン症全体の90~95%を占めるのが、標準型21トリソミー。
1~3%を占めるのがモザイク型。
ダウン症全体の5~6%を占めるのが、転座型です。
標準型21トリソミーとモザイク型は、正常な染色体を持った両親から生まれてきます。
標準型21トリソミーとモザイク型の違いは、正常な細胞が混じり合っているかいないかです。
正常な細胞が21トリソミーの細胞と混じり合ってひとつの体を作っているのが、モザイク型です。
転座型は、21番染色体がD群の染色体(13、14、15番)またはG群の染色体(21、22番)の1つとくっついたことによる障害です。
転座型の半分は、散発性転座と言って、両親の染色体は正常です。
あとの半分が、遺伝性転座で、片親に転座染色体保因者が見られます。
この家系には、保因者の先祖や兄弟、ダウン症の姉兄に同じタイプの保因者が見つかる可能性があります。
ダウン症特有の症状は、21番染色体とどのように関わっているのか?そのことを解明する上で、転座型の人のデータに注目が集まっています。
21番染色体の長い方の腕の下の一部がトリソミーになると症状が現れる
転座型のダウン症の人のデータから、21番染色体のすべての部分がダウン症特有の症状に結びついているわけではないということが、分かってきました。
研究によると、21番染色体の長い方の腕の下の方の一部だけがトリソミーになると、症状が現れるそうです。
知的障害、心臓奇形、顔つきの特徴などが出てくるのは、21番染色体の長い方の腕の下の方の一部が、通常の1.5倍になった場合です。
長い方の腕の下の一部に乗っている遺伝子の機能を解析することは、比較的容易でしょう。
しかし、その解析をしても、ダウン症の根本的な治療には結びつきません。
すべての細胞から21番染色体の問題の部分を取り除くことは、不可能だからです。
21番染色体上にあっても、ダウン症の症状とは関係ない遺伝子に注目が集まっています。
その遺伝子が活発に転写されている臓器での障害を防ぐ薬の開発が、現在、期待されています。
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